xxxFORTUNE




初めて、真実を見た気がした。

みんな、家庭の事情があったんだ。

それで、洋館に集まった。


愛琉さんと誠の理由までは知らないけど、きっと2人にも何かしらの理由があって───




「よし、じゃあ話終わり!
買い物とかして帰ろう。
今日はオレの奢りで」


空気を一変させるように、里音は声を明るく発する。

けれどあたしは、前を向けない。


無知ほど、怖いものはないわ。

何も知らないから、無意識のうちに誰かを傷付けてしまっていたのかも。



「すず、気にするな…って言うのは話しといて無責任だから言わない。
だから、少しはあいつらのこと気にしてやって」


俯くあたしの頭に、ポンと乗っかった手のひら。

ちょこっとだけ見上げると、優しい笑顔の里音。



「あ、あと、なんか嫌なことあったらオレに言えよ?
愛琉は口悪いし、誠は厳しいし、恋千は強引だし、ホタルは付きまとうだろうし」

慌てて付け足したように、最後のほうは早口で。


「なんだか、里音ってみんなのパパみたい」

「マジ……?」


思わず笑ってしまうと、今度は優しい苦笑いが返ってきた。