初めて、真実を見た気がした。
みんな、家庭の事情があったんだ。
それで、洋館に集まった。
愛琉さんと誠の理由までは知らないけど、きっと2人にも何かしらの理由があって───
「よし、じゃあ話終わり!
買い物とかして帰ろう。
今日はオレの奢りで」
空気を一変させるように、里音は声を明るく発する。
けれどあたしは、前を向けない。
無知ほど、怖いものはないわ。
何も知らないから、無意識のうちに誰かを傷付けてしまっていたのかも。
「すず、気にするな…って言うのは話しといて無責任だから言わない。
だから、少しはあいつらのこと気にしてやって」
俯くあたしの頭に、ポンと乗っかった手のひら。
ちょこっとだけ見上げると、優しい笑顔の里音。
「あ、あと、なんか嫌なことあったらオレに言えよ?
愛琉は口悪いし、誠は厳しいし、恋千は強引だし、ホタルは付きまとうだろうし」
慌てて付け足したように、最後のほうは早口で。
「なんだか、里音ってみんなのパパみたい」
「マジ……?」
思わず笑ってしまうと、今度は優しい苦笑いが返ってきた。


