エシャルとはちょっと違っているけど、見ればわかるわ。
「これって……お墓、よね?」
どういうこと?
それじゃあ、もしかして………。
恐る恐る口にすると、里音はこちらを振り返らないまま続けた。
「オレの親は、2人共亡くなってるんだ」
「そんな………」
まだ繋いだままだった手に、不意に力が込められるのを感じる。
両親に会うって、てっきり挨拶するとかそういうことだと思ってた。
挨拶に変わりはないけれど、本当はお墓参りって意味だったのね。
「父親の顔は知らない。
母親はオレが小学生の時に他界した」
答えにふさわしい言葉が見つからない。
何も言えずに黙ったままを貫いた。
「あのさ、すず。
オレの過去、全部話すから聞いてくれる?」
向き直って、互いに目を合わせてからコクンと頷く。
再び墓石に視線を戻した里音につられて、あたしも見つめた読めない刻まれた文字。
「オレには、5つ下に弟がいてさ。
母子家庭だったんだけど、母親は病弱で2人も面倒が見れなかったんだって」
この時初めて、里音に弟がいたことを知ったの。


