しどろもどろに喋ろうとすると、里音が身を屈めて合わせてきた目線。
「大事な話があるんだ。
一緒に来てくれない?」
真っ直ぐな瞳に、頷くしかできないのは言うまでもなく。
「……えぇ」
控えめがちに、小さく首を縦に振った。
里音のご両親がいったいどんな人で、会ったら何を話せばいいのか……
ドクンドクンと脈を打つ心臓。
そのうちだんだん引っ張られてる手が汗で湿ってきて、放してもらおうとお願いしかけた時。
「こっち。
段差気をつけて」
「へっ───きゃっ!」
注意虚しく見事に段差に躓いたあたしを、里音はしっかり支えてくれる。
「すずなら転ぶと思った」
笑いながら言われて、どうしようもなく恥ずかしい。
だけど、そんなことお構いなしに目的地はすぐそこで。
「え………?」
ある縦長の石の前で止まった里音。
その周りには、同じような石がいくつもある。
何か文字が彫ってあるみたい。
「ねぇ、里音」


