xxxFORTUNE










靴を履いて、鞄を持って、最後に鏡で姿をチェックしたなら出発。

外はポカポカのお出かけ日和。



「ねぇ里音、どこに行くの?」

バスという乗り物に乗って、揺られること数十分。

車内には、ちょうど座席が埋まるくらいには人がいて、あたしたちは立ったまま話していた。


「オレの両親に会いに行くんだ」

「え!?」


両親?

って、里音のお母様とお父様のことよね?


身が固まったのも束の間、

「ここで降りるから」

揺れが止まってバスのドアが自動で開く。

驚きから口を閉じ忘れていると、手を引っ張られて外へ。



「待って待って待って、」

止まろうと必死に全身の体重をかける。


「里音のご両親に会うなんて聞いてないわ!」

叫ぶあたしを振り返って、どこか残念そうな顔。


「んー‥やっぱりダメかな?」

「えっと、ダメっていうか、不安っていうか」


魔女のあたしなんかが会っても、いい人なのかしら?