「僕だけに言われても困ります。
出かけるのなら、他のみんなにも伝えておいてください」
それは、そうなんだけど。
「あたし、本当に忙しいの。
だから、誠を信用して伝言を頼むことにするわ」
予想なんだけど、あくまでも。
予想…なんだけど、みんな今朝は起床時間が遅い気がするの。
あたしが呼びに行けばいいんだろうけど、寝ているところを起こすわけにもいかないし。
朝食は、ラップでもかけておけば大丈夫よね?
ということで、やっぱり伝言を頼むのが一番いいと思うの。
「すず、おはよう」
「あ、里音おはよう!」
広々としたダイニングルームに、テーブル。
せっかくテーブルが大きいのに、それを囲むのは3人で。
「晴れてるし、外出日和だな」
食事が始まって、笑顔で話ができる相手は里音だけ。
誠は、食事中はほとんど声を発しない。
食べることに集中してるのかも。
最近、全員揃ってのご飯は夜だけになってきた気がする。


