「勘違いすんじゃねぇよ、バカが」
なっ……、なにもグーで殴ることないと思うの!
「ま、他のヤツらが嫌で俺と帰りたきゃ土下座しろ。
そうすりゃ考えてやる」
「だ.誰が土下座なんてするもんですかー!」
……いけないいけない、叫んでしまったわ。
こんな早朝から。
◇
愛琉さんとのやり取りも終了。
琴葉ちゃんは考え込むように、窓の外ばかりを眺めていて。
ちっとも集中できないまま、1日の授業が終わりを告げました。
外はオレンジ色。
少し視点をズラすと、すでに藍色がかった空が続く。
日が落ちるのなんて、あっという間ね。
夕陽って、ものすごく儚い。
だからこそ、美しく見えるのかもしれないけど。
「すず、帰ろう」
放課後、琴葉ちゃんと2人で教室に残っていると声がかかった。
あたしが誰がいいと指定しなかったから、里音が迎えに来てくれたみたい。
迷わずとも、愛琉さん抜きで帰宅するなら里音に限る。
学年一緒だし、教室近いし。


