「勘違いすんじゃねぇよ、バカが」

なっ……、なにもグーで殴ることないと思うの!


「ま、他のヤツらが嫌で俺と帰りたきゃ土下座しろ。
そうすりゃ考えてやる」

「だ.誰が土下座なんてするもんですかー!」



……いけないいけない、叫んでしまったわ。

こんな早朝から。









愛琉さんとのやり取りも終了。

琴葉ちゃんは考え込むように、窓の外ばかりを眺めていて。


ちっとも集中できないまま、1日の授業が終わりを告げました。



外はオレンジ色。

少し視点をズラすと、すでに藍色がかった空が続く。


日が落ちるのなんて、あっという間ね。

夕陽って、ものすごく儚い。


だからこそ、美しく見えるのかもしれないけど。



「すず、帰ろう」

放課後、琴葉ちゃんと2人で教室に残っていると声がかかった。


あたしが誰がいいと指定しなかったから、里音が迎えに来てくれたみたい。

迷わずとも、愛琉さん抜きで帰宅するなら里音に限る。

学年一緒だし、教室近いし。