「この間はごめんなさい!
せっかく帰り一緒だったのに」


あれから数日、学校で再会した琴葉ちゃんに頭を下げる。

それも早朝から。



「ん、別にいいよ」

窓を見ていた彼女は、あたしのほうへ顔を向けると優しく笑った。


相変わらず、琴葉ちゃんは男の子たちの注目の的で。

ついでに言えば、愛琉さんも女の子から相変わらずの人気。


あんな性格悪いのに、どうして女の子たちが寄るのか理解に苦しむわ。



「そういえば楼那さん、忘れ物って見つかったの?」

「へっ、忘れ物?」


あぁ、確かそんな言い逃れをしていたような………


「えぇ、見つかったわ!
うん、問題なしよ!」

この場は適当に誤魔化して、やり過ごすしかないわね。



クラスにもそろそろ馴染んできて、人間界の言葉は…まだまだだけど。

黒板に書かれた文字をノートに移す作業くらいは、慣れてきたってとこかしら。


窓の外は晴天。

校庭には、体育の授業があるらしいクラスの生徒たち。

廊下には、騒がしく笑い声が溢れてる。



「おい、」

そんな中、清々しい気分をどん底に落とす人が。