たどっていくと、魔力の強さは階段から廊下に移動してるのがわかった。


電気をつければ尾行がバレちゃうから、月明かりだけが今は頼り。


歩く度に、小さくスリッパが床を叩く音。

いっそ裸足のほうが静かなんじゃないかと思って、スリッパを廊下に脱ぎ捨てて。



いくつか部屋を過ぎると、とある扉の前に黒猫はいた。


リンリンと鈴を鳴らして、幽霊の如く扉を通り抜けようと………



って、ダメよ!

扉を通り抜ける前に捕まえなきゃ。


失敗しないと保証付きの魔法。

リラックスしたまま、静かに呪文を唱える。


次の瞬間、黒猫の足元に輝く魔法陣が浮かび上がる。


散々捕獲に苦労した迷い込んだものは、いとも簡単に籠の中へ。


「ふぅー‥、やっと捕まえたわ」


鳥籠にしては大きめなそれは、出入り口なんてなくて。

帯びている魔力が、絶対に中に閉じ込めたものを逃がさないように揺らいでいた。



「あなた、魔界の住人でしょ?
帰らなきゃダメなのよ」