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里音と佐久間さんと夕飯を作って、みんなで食べて、寝る準備を済ませて。
ベッドに入り込んだはいいものの、全然眠れる気がしないわ。
幾度となく寝返りをうって、横になりながらカーテンの開いている窓を見つめる。
夜でも、外はけっこう明るい。
虫の鳴き声が耳をくすぐった。
眠気はないのに欠伸が出て、毛布を首までしっかりかぶった瞬間
「……ん、……?」
妙な感じを察して、上半身を起こす。
なんとなくだけど、気配が動いたような。
目を閉じて意識を集中させると、思った通り。
魔力の気配だわ!
黒猫が、洋館の中にいる。
確信に変わると同時に、慌てて部屋を飛び出した。
気配は階段から。
まさかこんなに早く黒猫が現れるなんて思ってもみなかった。
それに、誠が言った通り洋館に来るなんて。
みんながすでに寝てるとは限らないけど、一応足音を立てないように気配をたどる。


