最初から、期待なんてしてなかったけど。
「コトリのお手伝いしてくる。
エプロン付けたら、ヒメも来てね!」
佐久間さんは元気よく走って行っちゃうし。
夕飯の支度に向かった里音を追いかけて、手伝ってくれるみたいだから助かるけど。
足音が止んだ場に、明るい照明。
せっかく窓から差し込む月明かりが、消されてしまってる。
疑問を解決するいい機会だと思って、相手を見つめると
「えっ、ちょっと待って!」
有無も言わせない素早さで、大広間を後にしようとする愛琉さん。
腕を掴んで引き止めたなら、もちろん向けられるのは不機嫌な表情。
「うぜぇ、邪魔、触んな」
しかも、ヒドいセリフが次々と。
「ねぇ佐久間さんの人間嫌いって、いつから何が原因でなったの?
恋千くんって、過去に何かあったの?
みんな何を隠そうとしてるの?」
「ったく、めんどくせー‥。
質問はどれか1つにしろ」
あまりにも勢い任せで口にしたから、話題が絞りきれなかった。
そんなあたしを見て、愛琉さんはわざとらしくため息。


