洋館の手前まで行くと、勝手に大きな門が開いて。
「おかえり」
まず、里音がお出迎え。
「遅かったな」
ため息をつきながら、愛琉さんもお出迎え。
佐久間さんは……
「ヒメっ、帰ってくるのずっと待ってたよー!」
大広間に入ってからの、お出迎え。
まだ、外には出て来れないのね。
誠も言っていたけど、窓を開けられるようになっただけでも前進ってとこかしら。
「ちょうど全員集まっていますし、今日あったことを報告しませんか」
「そうね、今日はね───」
街へ出かけたあたしたちは、一通りのことを説明して
「洋館では、何か変わったことあった?」
逆に、お留守番のみんなからも話を聞く。
残念ながら、有力な手掛かりは見つからなかったけど。
せっかく正体がわかっても、居場所不明じゃ何もできない。
「黒猫?」
お互いに顔を見合わせて肩を落とす中、唯一佐久間さんだけがきょとんとしていた。


