帰り道、2人から存分に説教。
ひょっとしたら、炎に飛び込むより怖いかも。
でも結局は、あたしを心配してくれてるからなのよね?
心配かけちゃったこと、申し訳ないわ。
「黒猫は取り逃がした…と」
誠は閉じた本を開くと、びっしり並んだ縦書きの文字に目を向けた。
エシャルの本は、ほとんどが横書きで図式が載っているのが一般的。
人間界の文字には、ちょっとだけ慣れたものの、すらすら読むことは厳しい。
「でさ、あと確実に魔法を使えるのは2回ってこと?」
恋千くんは、寄り道をして買ったお菓子に食らいつきながら喋る。
「いいえ、あと1回よ。
学校で黒猫を見つけた時にも、魔法を使っちゃったの」
だから、次が最後のチャンス。
絶対に捕まえなくちゃ。
「黒猫が現れそうな場所って、どこかしら」
学校、街中……次は?
「洋館かもしれませんね」
「「洋館!?」」
誠の予測に、つい恋千くんと声が重なる。
「灯台下暗しと言うでしょう。
ひょっとしたらと思っただけです」


