普段なら、成功する確率なんて0に等しい。
2つの魔法を掛け合わせることは、相当高いレベルだから。
龍の如く水が炎を掻き分け、風がふわりと女の子を外に運ぶ。
杖を消して女の子のそばに駆け寄ると、救助の人たちがいる場所を教えてあげた。
「ありがとうお姉ちゃん」
涙を零しながらお礼を言われ、頭を撫でてあげると女の子は人のいる場所へ。
そのうちに、少しずつ炎が弱まり始めて。
あたしも、戻らなきゃ。
「すず、やっと見つけた…!」
と思ったけど、戻る必要はなさそうね。
「何を考えているんですかあなたは。
自ら危ない真似をするのはやめてください」
恋千くんと誠が、ちゃんと見つけに来てくれたし。
「ごめんなさい」
「謝って済む問題じゃないよ!
先輩が死んだらどうしようって」
待って待って、恋千くん大袈裟すぎるわ。
それに、気のせいかもしれないけど涙目?
「とにかく、今日はもう帰りましょう」
ため息をついた誠にまとめられて、頷くしか選択肢がなかった。


