「とりあえず、気配をたどろうか。
すず、さっさと気配読んで」
満腹で外に出たならば、幸せ気分をぶち壊す命令。
仕方ない。
仕方ないけどっ、
「少しくらいお買い物とかしたいわ」
「それは別の日ね」
「寄り道は、時間の無駄です」
2人共、ちっとも女心がわかってないんだから。
そりゃあ、あたしの課題に付き合ってもらってるんだもの。
感謝はするわ。
だけど、だからって自由時間まで奪うのはヒドいと思うの!
「もうっ、わかったわよ」
最終的にあきらめて、再び瞑った目。
西の方角…お花屋さんにケーキ屋さん…その先の雑貨屋さん。
角を曲がって…家を屋根の上から見下ろしていて。
「こっちよ!」
居場所をだいたい突き止めると、忘れないうちに走った。
集中している間しか気配を読み取れないから、走りながらだと魔力を感じることは不可能。
黒猫が移動を開始する前に、見つけられればいいんだけど。


