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昼食は、先頭を切って歩く恋千くんに任せてファミレスへ。
ファミレスといっても、エシャルとはまた違うから不思議な感じ。
「わぁ、美味しそう!」
ハンバーグを目の前に、両手を合わせる。
恋千くんはステーキを、誠はリゾットを頼んだみたい。
みんな料理はバラバラだけど、それぞれ満足しながら食べれたから良かったと思うわ。
人間界での、初めての外食ね!
「でさ、黒猫探しのことだけど」
休暇を楽しむことに夢中なあたしを、現実に引き戻す言葉。
さっきの出来事を気にした様子もなく、しばらくすると恋千くんは笑顔に戻った。
「どうやって探すのが一番いいわけ?」
「それなら、あたしに任せて。
魔力の気配を追えば、きっと見つけられるはずよ」
自信満々に言ってから、目を閉じて。
…うん、微かだけど気配はある。
「黒猫が災いをもたらすことも、何かしらヒントになるんじゃないですか」
誠の意見も参考に。


