「あと、これ…つけて行ってね」

「…何これ?」


渡されたのは小さい黒い塊。


「それね、小型のトランシーバー。うぅーんと…あのさ。盗聴機能と会話機能が備わってるわ。


とはいっても…盗聴するのは私だし、会話って言っても私から萌加に支持を送るしかないけどね」


…もうそれさ、私に真白の指示通りにしか動くな、って言ってんのと一緒だよね…?



「ってことで、これを耳につけて。そうそうそんな感じ。後はこれで私の指示を聞いて。じゃ、がんばってね」


と言って気楽そうに髪の毛の手入れを始めてしまった真白。

…なんでそんなやる気ないのにこの作戦に参加したのだろう。


「じ…じゃあ、私は失礼します」


「あ、そうだ」


くるっと振りかえった真白。


「もし、指示に対してなんかあったら私にメールして。電話でも良いよ」

「分かったわ。じゃあね」


重そうな扉を再度開けて私は外に出た。