「…そんな風に想われて、奥様は幸せですね…!」


澪は嫌味を込めて言った。


「幸せ…?
どうかな。

彼女は俺と居て幸せではなかったと思うよ。

一緒に趣味も楽しめない。
つまらない男だからね。…」


「…わたし、帰ります。」


バタン、

ドアの閉まる音が響くと、呼吸音さえも響きそうな静けさが流れた。