夜、ボクは上着を羽織り、ホームセンターで買ったスコップを片手に墓に向かった。

さすがに雰囲気はあったが、自分が完璧である理由がわかるとあって、興奮しているボクにはなにも怖く無かった。


掘る、ただひたすら掘る。

「ガキッ!」

金属がこすれあう嫌な音がした。

ボクは手で周りの土を払い、それが何なのかを確認した。

…棺だ。

開けるべきか開けざるべきか…。

ボクは唾をゴクリと飲み込み、恐る恐る棺を開けた。

…ヒドい臭いと共に、見るのも無残な死体がそこには入っていた。

「うわ…。」

これではただの墓荒らしだ、早く調べて引き上げるとするか。

ボクはそう思い棺の中をくまなく調べた、するとそれ程大きくない一冊の本が入っていた。

「なんだ?この本は。」
ボクはそれを手に取り、本をめくった。

…どうやら日記みたいだ。

ボクはそれをサラサラと読み始めた。

“3月9日、34人目の日常生活に関する分析を開始。”

“4月18日、34人目の分析が完了、頭皮に若干の難あり。”

“6月21日、34人目を捕らえ、××。××後は35人目に。”

…それから数年、日記は白紙だった。

“8月30日、35人目の分析をしたところ、顔に若干の難あり。”

“9月3日、35人目が自宅から逃げ出す。急いだ方がいいだろう。”

“9月5日、35人目を捕らえ、××。36人目へ。”

…それからはなにも書いてなかった。


34?35?分析?何のことだろう。

しかもなぜ、こんなに日記が先祖の墓から出てくるんだ?

ボクは改めて棺と死体を見た。

「こんな死体…。」

…!
ボクは気づいた、そして全てを把握した。


一見、無残な死体だ、しかし背丈、体格、肌の色全てボクにそっくりなのだ。

どこもかしこもボロボロ今にも腐り崩れそうだ。








顔だけを覗いて。




終わり。