夕方を過ぎて、仕事が終わったお父さんもお母さんも堀内の家に来た。


広間にたくさんの食事が運ばれてきて、ちょっとした宴会になった。

人が死んだのに、宴会か。


大人のそういうとこ、ついていけない。


たくさんの親戚がガヤガヤいいながらお酒を飲み始めた頃。
私は巻きずしを二つ三つ頬張ってから、みつからないように外に出ようとした。

「花澄、どこ行くの」

と、お母さんに呼び止められた。

「どこって…いいじゃない。外、行くの。」

「ここにいなさい。」

「え~」

「いいから、いなさい。」

いつもよりちょっとお母さんの顔が厳しい気がした。


…死んだ人の前でお酒を飲むのと

知らんぷりして逃げ出すのと。



どっちがマシかな。


そんなことをちょっと思って、座り直した。