[ユウリ]



「なにーその本?」

「うっさい。どっか行け」

「ちょw手話?あんたこんな趣味?笑」

「…」
俺はそいつを睨みつけた。

「すいませーん」

話しかけてくるのは
幼なじみのナツメだ。

ギャルになりたいらしい。



「てかてか、これ見て?
昨日さー、買ったんだよ」

ナツメは自分のぺったんこなカバンに
ついているストラップを見せた。

「なんだよ、それ」

「はー?見たら分かるじゃん
最近流行りのキモカワだよ」

「キモキモの間違いだろ」

「いやキモキモなんてないし
キモカワだし」

「はいはい、もういいから」



俺は席を立ち あの裏倉庫に向かった。

たぶん だけど マイに会えるっていう
期待をしてた。

裏倉庫の周りを一通り見てみる。

はぁ…

「いない、か」


俺は最近分かりかけてきた
手話の本を開いた。

結構覚えれたぞ

中級買おうかな。

なんて思いながら
本を読んでいたら
時間が過ぎていった。