本来、霊との関わりは、神聖かつ慎重に行わなければならない。
自分の力の及ばぬ霊には、決して手を出してはならない。
力ずくではなく、自然の流れに逆らわず、霊を還してやるのが自分たちの仕事だ、と。
自分の能力に気づいた時、サヤは兄からそう教わった。
しかし、直樹も孝輔も霊能力はなく、神聖も慎重もそこにはない気がした。
あまつさえ、霊の感情を数字で探そうとしているのだ。
ヤイバの教えから、全て背いている気がする。
だが直樹は、兄の親友だ。
この事務所が、どういう主旨のものかを知って自分を預けたというのなら、何らかの意味があるのだろう。
それならば、サヤは彼らをもっと知るべきだった。
この、機械的で数値的に処理される世界を。
「えーっと…さ」
食事が終わった後。
給湯室で朝食の後片付けをしていたサヤは、背後に孝輔がいるのに気づいた。
何ともはや、微妙に複雑な表情をして。
「この後、ちょっと付き合ってくんねー?」
「はい?」
弟くんの言ってる内容というよりは、その表情に「?」がついてしまった。
そんなに言いにくい話なのだろうか、と。
だが。
「もう一回、壷を調べたい」
そう言った孝輔の顔ときたら。
さっきの、朝食の直樹でも思い出したのだろうか。
忌々しさと怒りと苦さが大激突だった。
自分の力の及ばぬ霊には、決して手を出してはならない。
力ずくではなく、自然の流れに逆らわず、霊を還してやるのが自分たちの仕事だ、と。
自分の能力に気づいた時、サヤは兄からそう教わった。
しかし、直樹も孝輔も霊能力はなく、神聖も慎重もそこにはない気がした。
あまつさえ、霊の感情を数字で探そうとしているのだ。
ヤイバの教えから、全て背いている気がする。
だが直樹は、兄の親友だ。
この事務所が、どういう主旨のものかを知って自分を預けたというのなら、何らかの意味があるのだろう。
それならば、サヤは彼らをもっと知るべきだった。
この、機械的で数値的に処理される世界を。
「えーっと…さ」
食事が終わった後。
給湯室で朝食の後片付けをしていたサヤは、背後に孝輔がいるのに気づいた。
何ともはや、微妙に複雑な表情をして。
「この後、ちょっと付き合ってくんねー?」
「はい?」
弟くんの言ってる内容というよりは、その表情に「?」がついてしまった。
そんなに言いにくい話なのだろうか、と。
だが。
「もう一回、壷を調べたい」
そう言った孝輔の顔ときたら。
さっきの、朝食の直樹でも思い出したのだろうか。
忌々しさと怒りと苦さが大激突だった。


