鳥籠の中の少女

放送のスイッチを押して、私は話し始めた。



「皆さん、休み時間にすみません。今すぐに伝えなければならない事があります」



私の放送に校内がざわつく。



「今、1-2で別宮 結乃【ワカミヤ ユノ】さんが虐められてます!現に今、水を被って、罵声を浴びさせられてます。助けてあげて下さい」



この言葉で、ざわつきが最高潮に達した。



今頃、1-2の人達、顔真っ青にしてる筈だわ。



いじめなんてするから悪いのよ!



「おい!放送室へ誰か行け!」



グラウンドから先生の叫び声が窓越しに聞こえる。



「緋結、先生がこっちへ来るよ」



千里が心配そうに見つめて来る。



「大丈夫よ」



私はニコッと笑って、また、口を開いた。



「先生方、今、此方へ来ようとしてませんか?そんな事する前に別宮 結乃さんを教師として、助けるべきなんじゃないですか?この状況で此方へ来る人は、教師として失格ですね。では、校内にいる皆さん、別宮 結乃さんを助けてあげて下さい。これから私達も行きます」



其処で、放送のスイッチを切った。



「これで大丈夫よ」



私は笑顔で振り返る。