私が注意した事、もう守れてないし。



心の中で毒づきながらも学校へ向かおうとした。



だが、それを阻む者がいた。



「緋結ーー!!」



誰かは言わなくても分かると思う。



「潤樹、煩い」



いつもと同じ、ニコニコ笑顔。



栗色の髪はくるくると巻かれてるくせ毛。



茶色っぽく人懐っこい瞳。



昨日、何でこんな人に話したんだろうと思ってしまう。



それを声に出していってしまったら失礼だけど。



「冷たいなー。もうちょっと可愛く『おはよう』とか言ってくれてもいいのにー」



「可愛くなくて悪かったわね」



私はいつもと同じように冷たくかわす。



昨日の事を言ってもいいのに、敢えて言わない潤樹は優しい。



「緋結は可愛いの。だけど、性格可愛くないって言ってるんだよ」



「どっちも同じじゃない?」



「うわー、可愛くない」



顔を歪ませながら文句を言う潤樹だけど、その姿は可愛い。