「ご馳走様でした」



私は立ち上がって、リビングに掛けられている時計を見た。



そろそろ行かないと。



私は鞄を持って、家を出た。



「緋結、もう行くのー!?」



家を出た瞬間、何処からか、声が聞こえた。



お母さん?



私は驚いて振り返った。



でも、其処には誰もいない。



「此処よ!上!」



言われた通り、上を見上げてみると、ベランダで洗濯物を干してるお母さんがいた。



「ベランダから叫ばないで」



私はベランダまで聞こえるぐらいの声で、なるべく小さな声で言った。



「ごめんなさい.....」



お母さんは子供みたいにしゅんとなって小さくなる。



「もういいよ。行って来ます」



「行ってらっしゃい!」



私が許すと、お母さんはパァッと明るくなって先程と同じように叫んだ。