鳥籠の中の少女

「はいはい。分かりました」



私は、リングを左手人差し指に付けて、唯人に見えるように手を翳した。



「よし!いい子いい子」



そう言いながら、頭をくしゃくしゃと撫でる。



そんなに荒々しく撫でたら頭ぐしゃぐしゃになるじゃない!



それにいい子いい子って私は其処まで、子供じゃないわ!



心の中で悪態を吐くものの、本当は嬉しくて何も言わなかった。



「さあ、行くぞ!」



そう言って、歩きだしたかと思うと、『あ』と振りかえって、私の手を繋ぎ歩いた。



「行くぞって何処に行くの?」



「さあ?しらね」



「知らないって何それ。場所決まってないと、何処にも辿り着けないじゃない」



「そんな細かいこと気にすんなよ」



否、気にするでしょ。



私は心の中で突っ込みながら、唯人の強引な行動に無理矢理付き合わされた。