鳥籠の中の少女

5分ほどして唯人は現れた。



「遅くなってごめん」



「見てただけの唯人が遅くなるなんて、夢中になってたの?」



私は、意地悪く笑った。



「違うよ。ほら!」



顔を少し赤らめながら、差し出した物はこの店の袋。



「開けていいの?」



私が聞くと、唯人はうんうんと頷いた。



開けてみると、さっきのペアリングのピンクの方が出てきた。



「これってさっきの.....」



「そうだよ。緋結、俺が付けないと思ったんだろう?だから、無理矢理違うコーナーに行った」



「ちっ...違っ」



「違わない。緋結は変な所で遠慮するからな。ペアリングが置いてあったコーナー離れる時焦ってた」



唯人は冷静に言い当てる。



その冷静さを見て、私は溜息を吐き、苦笑した。



「唯人には敵わないわね。そうよ。ありがとう」



「どう致しまして。俺、付けたから」



唯人は左手を出す。



その人差し指に対になるリングははめられていた。