お母さんも、緋結がどれだけ苦しんだかは分かったんだね。



俺も、出逢ったあの日、何で、あんなに悲しそうにしているんだろうって思った。



その理由があまりにも残酷で、悲しかった。



だから、緋結は壊れたんだと思った。



でも、それだけじゃなかった。



恋人を殺した犯人が父親だなんて、何て、運命と言うモノは残酷なんだろう。



それと共に、何で俺は、姉を殺した犯人の娘を好きになってしまったんだろう。



でも、答えは出たから。



だから、今日は、緋結に伝えるんだ。



緋結が恋愛感情を持っているかなんて分からないけど。



でも、そうだったら、あの日、凄く傷ついたと思う。



俺は、混乱して、緋結の事を考えられなかった。



だから、今日は、目を逸らさないから。



「時間なんでしょ?行ってらっしゃい」



お母さんが笑顔で、手を振る。



「あ、うん。行って来ます」



俺は玄関に向かい、靴を履いて、家を出た。