鳥籠の中の少女

花音ちゃんは嘲笑いながら愚痴ってるけど、瞳は悲しそう。



"この世にいじめなんてものが無かったら、弟は死ななかったのに"



そんな風に言ってるようだった。



だから、私は何も言わなかった。



誰も何も言わない。



花音ちゃんにとって、この言葉を言わないと、自分を保てなさそうだったから。



今にも壊れそうだったから.......



「沙良ね、自分が悪いんだと思ってた。自分が死ねばいいんだと思ってた。だからね、ある日、手首を切った」



沙良ちゃんの瞳に涙は無い。



涙を堪えてる訳でも無さそうだった。



「でも、やっぱり死ねなくて、今度はもっと、深く手首を切った。所謂、リスカだよ。毎日リスカした」



唯、遠い目で、いじめられてた頃を思い出してるようだった。



「毎日リスカしてるのにそれだけじゃ、物足りなくなって、腕や脚まで切った。最初は、死にたくて、リスカしてたのに、いつの間にか、リスカ、アムカ(アームカット)、レグカ(レッグカット)をする事によって、自分は生きてるんだと安心する為にした」



聞いてるだけで胸が痛い。



沙良ちゃんはその頃、どんなに追い詰められていたのだろう。



どんなに酷い事をされたのだろう。



「いつの間にか、身体は傷だらけ。お母さんは泣いてた。お父さんは必死で沙良が切るのを止めようとしてた。馬鹿でしょ?両親に其処までされても、止めないなんて」