お別れの日



「じゃあチカ、元気で。」


「おぅ!!ツキもなっ」

悲しいくらい晴れ晴れとした青空の下、月仁は車に乗って行こうとしていた。


私は最後まで悲しくて顔を上げることができなかった。


そして結局、想いをきちんと伝えることはできなかった。


「ナナ。」


大好きな声が私を呼ぶ。


「顔上げて。」


月仁は涙を目一杯ためた私の口の中にいちごの飴を入れた。


「んぐ!?」


「ナナ、また遊びに来るから。だから笑って?」


私は溢れ出した涙を拭い、精一杯笑った。


「またね、つーくん。」



月仁のかばんにこっそりと自分のキモチを書いたメモを入れながら。


宛名も差出人も書いていない小さな紙を。


私の願いが彼に届くように。