「ゆず、どこ行ってたのー?」 「ごめんね。ちょっと瀬野くんに捕まって…」 教室に戻り、私の座席に座りながら怒る菜々ちゃんに事情を話す。 「郁斗?何か言われたの?」 「違うよ!あの、ただ定期落としてたから拾って渡しただけだよ」 「ふ〜ん。よく郁斗に話し掛けられたね」 「緊張したに決まってんじゃん!今でもドキドキしてるもん」 「緊張し過ぎだから」 呆れたように苦笑すると、菜々ちゃんは廊下へと歩きだした。 私も慌てて菜々ちゃんを追い掛け、学校を後にした。