カタンカタンと規則正しく響く音と共に、私の視界も浅く揺れる
その先に続くのは流れていく変わりの無い景色。私が住んでいる所とは随分と違って
背の高いビルもなければ
洒落たお店もない。

ひたすら田畑の続く緑色の空間。


「ちせ。聞いてる?」
突然、方耳のイヤホンを外され覗き込んできた顔。

どこか疲れきっていて、40代にしては老けすぎているそれを見て、なんだか少しイライラした

「…聞いてた。」

「うそつけ。」

わかってんなら聞くなよ。

「だから、もしずっとこっちにいるのが嫌だったり、なんかあったら連絡してきなさいよって…」

「ん。」


…嫌になんてならない。

外されたイヤホンを戻してため息を吐いた。


私の横には、
40代の母と、ちょうど20歳になる兄がいる