放課後、加奈は演劇部の部室へと向かった。

すると、部室から歌声が聴こえてきた。

これは・・鳥のさえずり?

ううん、これは女性の声。

なんてきれいな歌声なの・・・。

ガラっ・・・。

加奈は部室のドアを開けた。

夕暮れのオレンジ色の光が差し込む部室。

開かれた窓から黄色のカナリアが一羽、舞い降りる。

鳥は少女の肩にとまり、美しいさえずりを聴かせる。

少女もただ、美しい歌を奏でる。

「久世凛音・・・」

その歌声は、あまりに儚く、

一瞬の流れ星のように瞬き、消えていった・・・。