パチパチパチ・・・!!

炎が轟音をたてる。

火の勢いは加速度を増し加奈と美織をとり囲んでいく。

バン!!

「加奈!!」

十夜が美織の部屋に飛び込んできた。

「加奈!?どこにいる!!」

「!?」

月の光が部屋の中を照らす。

その光を一身に浴び、月を見上げる少女。

月光に縁取られ彫刻のように恍惚とした後ろ姿。

それはまるで・・・。

「女神・・・カナン、君は女神なのか?」

振り向く少女。

アイスブルーの瞳に輝く涙。

「十夜・・・カナン、少し思い出したよ」

「・・・」

「カナンは前世でも十夜と瑞樹、いつも3人一緒だったね」

「カナン・・・」

「ありがとう。いつも護ってくれて。カナンは二人だけは、絶対に死なせない」

ゴォォォー!

炎が月夜の光を飲みこんでいく。

前世からの声が聞こえる。

『トオヤ、ミズキ。カナンは二人が大好き。月が見守ってくれる限り私たちは永遠に一緒よ』