バン!!

「美織ちゃん!!どこ!?」

パチパチパチ・・・!!

煙で視界が狭まる。

美織ちゃん、お願い、返事して!!

「か・・な先輩?」

「美織ちゃん!!」

美織は床にうつ伏せに倒れ、意識は朦朧としているように見えた。

加奈は美織を水の障壁の中に入れ抱き起こした。

「加奈先輩?これ美織の夢かな?でも夢でもいい。最期に会えたのが加奈先輩でよかった。美織もう思い残すことないよ」

美織はかすかに笑っていた。

美織ちゃん、死んでしまう…。

不安が頭をもたげる。

「加奈先輩、お願いがあるの。十夜先輩に伝えて。『片想いでも、十夜先輩を好きになってよかった。美織の片想いの相手が十夜先輩でよかった』って」

そう言った美織の手が、コトンと音をたてて床へすべり落ちた・・・。

「み、おり・・・」

大きな瞳は閉じられ、片目からは一すじの涙が伝い落ちていく。

「みお・・り、美織ー!!」

嫌だ!

いかないで!

まだ、あなたに聞きたいことがあるの。

美織、どうしたらそんなに強くなれるの!?

どうして、私にそんなに優しくしてくれるの!?

どうして、なんで、なんで美織が!!

「いやー!!!」

ブゥ・・・ン。

その時、加奈の右手薬指にはめられているムーンストーンが虹色の輝きを放ち始める。

その輝きは、人類が太古から神秘と怖れ崇めてきた月の輝きを具現化し、宇宙の彼方の神秘を妖しく浮き彫りにする。