月夜の天使

「美織、不治の病なの。お兄ちゃんたちが余命3ヶ月って言ってるの聞いちゃったんだ」

十夜は黙ってただ前を見つめている。

美織は十夜の背中に頬を押し付け、大切なものを失った子供のように無垢な涙を流す。

愛しい人をその頬で感じて・・・。

加奈は美織の激しい恋慕の情をこの時初めて知った気がした。

十夜への激しい恋慕。

美織ちゃんは、見返りなんて求めてない。

恋しくて愛おしくて、ただそれだけを求める愛。

加奈の頬を自然に涙が伝い落ちていく。

「美織」

ずっと黙っていた十夜が、静かに美織の名を呼んだ。

「十夜先輩?」

「気持ちなら何度でも聞いてやる。だから、死ぬな」

十夜!

十夜の声はとても優しかった。

「十夜先輩、ありがとう。美織、好きって言われたみたいに幸せだよ」

美織はぶわっと大粒の涙を溢れさせ、声をあげて泣きはじめた。

加奈も美織を思わず後ろから抱きしめていた。

激しい愛に、揺さぶられながら…。