月夜の天使

十夜は腕を空高く突き上げた。

十夜の瞳が青く強い光を放つ!

「・・・消えろ」

十夜が強く手を握ってこぶしをつくったその瞬間、

パァーン!

光の玉は、十夜の手の上ではじけた・・・!

「もう大丈夫だ。加奈、美織のアザは?」

呆然としていた加奈は十夜の声でハッと気づき、倒れている美織を抱き起こした。

「十夜!アザが消えてるわ!」

「微弱な生命体で助かったよ。かなり危なかったが、これくらいの玉なら引きずりだすことができる」

辺りはすっかり暗くなっていた。

美織は気を失ったままだった。

十夜は美織をおんぶし、加奈は美織のカバンを持ちながらその横を歩く。

美織の携帯を借りお兄さんに電話すると、すぐに迎えにくると血相を変えていた。

「美織ちゃん、大丈夫かな?」

「ああ。すぐに良くなるよ」

「・・・十夜、美織ちゃん、あなたの事すごく好きよ」

「・・・」

十夜は何も答えず、歩き続ける。

加奈も答えを待たずに話し続けた。

「美織ちゃんの気持ち大事にしてあげてね」

「加奈、お前は何度生まれ変わっても、俺に同じことを言うんだな・・・」

「え?」

「その言葉は俺には酷だ」

わずかに聞こえるようなかすれた声だった。

十夜は苦しそうに瞳を細めると、また黙った。

十夜?

『十夜先輩は加奈先輩のことが好き』

美織ちゃんの言葉が甦る。

まさか。

美織ちゃんの思い過ごしよ・・・。