月夜の天使

「私、飛んでる!?」

二人は橋の上へと向かう。

ふわり。

十夜が優しく橋へ降り立った。

その瞬間、風は一気におさまり、川の水はもとの場所へと還っていく。

「加奈、遅くなって悪かった」

「須藤くん…」

「十夜でいい」

「・・・十夜。今の一体なにが起こったの?」

「風を操ったのさ。俺は水と風を得意とする」

「さっきの光は?なにか温かい光に包まれた気がしたの」

「瑞樹だな。あいつは月の光を操って加奈を探しあてることができる。どこにいてもね。さっきはその光で俺も加奈を見つけることができた」

あの光を放ったのは瑞樹。

加奈は周りを見渡して瑞樹を探した。

だが、その姿はどこにも見えなかった。

「瑞樹はどこにいるの?」

「・・・今はここには、いない」

「瑞樹になにかあったの!?」

十夜が一瞬苦しそうな表情を見せた。

加奈を抱きかかえたまま、強く激しく加奈を見つめる十夜の瞳。

「・・・十夜、降ろして」