月夜の天使

「美織!」

前から走ってくる人影が見えた。

全速力で美織を目指して走ってくる男性。

「伊織お兄ちゃん!」

美織が驚いたような声で叫んだ。

「お兄さん?」

加奈はその男性をまじまじと見つめる。

背は高く、細身のスタイルで、色は透き通るように白い。

顔は・・・美織にそっくりだった。

「美織、だめじゃないか!今日は早く帰るように言ったろ?医者にも言われてるじゃないか。最近は特に調子良くないんだから」

「ごめんね、お兄ちゃん」

「美織ちゃん、体悪いの?」

「ううん、たいしたことないの。生まれつき体は丈夫なほうじゃないけど、慣れてるから」

美織の明るかった顔が少ししょげたように見えた。