月夜の天使

「いってきまーす!」

翌日の朝になると、加奈の熱はすっかり下がっていた。

学校へ行こうと玄関を出ようとした加奈を母が呼び止める。

「加奈、最近体調悪いみたいね。大丈夫なの?」

お母さん、心配してくれてる…。

その気持ちに胸がいっぱいになった。

「うん、ありがとう。大丈夫だよ」

「・・・お母さん」

「なに?加奈」

「いろいろごめんね!」

そう言って加奈は走り出した。

お母さん、ほんとうに、ごめんね。

「加奈・・?」

母は何か不安を感じ、加奈の後ろ姿をずっと見送り続ける。



今日は快晴。

なにが起こってもおかしくない。

でも、大丈夫。

私の胸の奥のこの強い想いは、決して滅ぼされはしない。

そう心に強く誓った。

「おっはよー!」

教室に入って自分に気合を入れるように声を張り上げる。

「加奈?おはよー!どうしたの?今日すごく楽しそうじゃん」

清香が怪訝な顔をして近づいてくる。

「もしかして、美少年ワンかツーと何かあった?」

清香がいたずらっぽい顔をして、いじわるな質問をする。

「んー。ワンは性格悪いし、ツーは弟だからねー」

「そっかー。ワンは性格悪いんだ。じゃ、私はツーを応援するよ!」

「清香~!ちゃかさないでよ!」

「あはは!だってせっかく美少年が二人もいるのに討ち取らない手はない!」

「もう、清香はいっつもそうなんだから!」

加奈と清香の楽しそうな笑顔がはじけた。

こんな感じで今日もいつもと変わらず過ごせたら。
私の願いは一つだけ。

このままでいい、神様、このままでいいから…。