「瑞樹、ずっといてくれたんだ?」

私の部屋だった。

ベッドの脇を見ると、瑞樹が心配そうに見つめていた。

「少し熱があるんだ。横になってたほうがいい」

「私また倒れて…。瑞樹が連れてきてくれたのね」

「加奈、いっぱい悲しませてごめん」

瑞樹の表情がつらそうに歪んだ。

瑞樹のそんな表情は見たくない。

そんな気持ちでいっぱいになった加奈は精一杯の笑顔を作って言った。

「いいの。だって事実なんでしょ?私、まだわからない。自分にそんな力があるなんて。でも私がしっかりしないと、瑞樹たちも危ないってことはわかった。だから頑張るよ」

「加奈、ありがとう」

瑞樹もまた精一杯の笑顔を見せてくれた。

「加奈、母さんは月の一族だ。彼女は、カナンの生まれ変わり、神子を産む使命を授かっていた。だから加奈が男性に生まれることを望んでいた。でも、女性の加奈を認めていないわけじゃない。生まれてからは精一杯愛したはずだ。ただ、加奈の父さんが犠牲になったことを知ってからは加奈への愛と夫への愛の葛藤があったんだろう・・・」

お母さんも月の一族・・!!

そうか、だからお父さんの事故以来、私への態度がよそよそしくなったのね。

加奈は母の今までの言動を思い出し、胸が痛くなった。