「瑞樹へ

あなたがいなくなって、私は何度届くかわからない手紙を書いたでしょうね?

私も、もう25歳になったのよ。

『月夜の天使』の舞台のあと、学校のみんなは月の再生の力で、瑞樹と詩苑のことを忘れてしまったから、瑞樹はほんとうにこの地上に存在していたのか、なんて疑ってしまうこともあったわ。

だってあなたは、まるで天使だったから。


でも、あなたが生きた証がちゃんとある。


あなたが描いてくれた『カナン』。

あの絵は今でも「天使の泉」にいて、私たちを見護ってくれてるの。

いずみさんも、香織さんも、とても元気よ。

そして、凛音もとても素敵な女優さんになって、『月夜の天使』の舞台の主演女優を務めたのよ。

凛音は瑞樹の想いをこの地上の誰かに残したかったのかもしれない。

瑞樹のように永遠に愛してくれる人を探すんだって。

そして私は・・・」