月夜の天使

月の神様・・・。

なぜ、カナンじゃなく瑞樹なのですか・・?

月に還るべきなのは、瑞樹ではなく、この私。

そうでしょう?

カナンは力なくふらっと一歩前へ飛び出す。

「カナン!!」

十夜の声が聞こえた。

十夜、あなたをとても愛してる。

でも、カナンは残酷な運命を懸命に生きた瑞樹を一人にできないの。

月へ還るべきなのは、私。

カナンは海に引き寄せられながら、月を見上げる。

月は何も答えない。

ねぇ、カナン、還るべきでしょう・・?

月はカナンに何も答えない。

カナンは月に手を差し伸べ、魂の言葉を唱える。