月夜の天使

「月が恋しい。
月が恋しい。
たとえ君に会えなくとも
我は月へ還りたまう

やわらかな月の光に包まれて
君の夢見ること叶うならば
我、永遠の眠りにつくこと
ただ切に願いたまう」

凛音は、つぶやくように歌いながら月見草を胸に抱きしめて、涙を流した。

「この歌はルナの想いを歌ったもの。でも、この歌は瑞樹に捧げるわ。瑞樹が私に愛を取り戻してくれた・・・。私、今やっとわかった。私は復讐なんかのためじゃなく、ほんとうに瑞樹を愛していたのよ」

凛音は手を前へ伸ばし、月見草を瑞樹が落ちていった海に落とす。