月夜の天使

第2幕。

幕が上がると、背景が、森から街の中に変えられていた。

布を巻いた凛音がゆっくりと登場し、黒いシャツにジーンズのラフな姿の十夜とすれ違う。

二人は見つめあい、凛音の布はゆっくりと流れるように足元へ落ちていく。

女神と天使が恋をした瞬間だわ。

布をはいだ凛音は、白のシャツに白のスカートという姿でたたずむ。

そのまま十夜は無言で舞台そでに下がり、瑞樹が登場する番がやってくる。

舞台上にゆっくりと現れる白のシャツに黒のパンツの男性。

え・・・!?

違う、瑞樹じゃない!!

登場してきたのは、瑞樹ではなく、演劇部の3年生だった。

瑞樹の出番のはず・・・。

瑞樹は間に合わなかったってこと・・?

男性は椅子に座り、絵を描き始める。

次々と描いては消していき、次第に追い詰められた表情になる男性。

な・・・に?