月夜の天使

「加奈、凛音は父親である詩苑の側についたかもしれない」

「そうだったら、どうすればいいの?」

「凛音の魂を救えるのは、加奈、君だけだ」

十夜は加奈の瞳から流れる涙を優しく拭う。

「君のことは俺が絶対に護る。だから、君は凛音を護るんだ」

十夜から青い海のように深い愛を感じた。

私は、十夜に何も返せてないね・・・。

加奈は、スッと背伸びをする。

背の高い十夜に少しでも届くように。

十夜の唇にそっと唇を重ね、瞳を閉じる。

唇を離し見上げると、十夜の熱い眼差しに胸が熱くなり、愛しい想いがこみ上げる。

「ずっと離れないって約束して」

「・・ああ。君が瑞樹のことも愛してても、絶対に離れてなんかやらない」

十夜の熱い唇に塞がれ加奈の唇も熱を帯びる。

初めて十夜とキスした時のように、十夜の熱いエナジーが唇から体の中に流れ込み、加奈の体温が上がっていく。

ドクン、ドクン。

なんて熱いエナジー!!

「・・・ん、熱・・・!」

あまりの熱さに十夜から体を離す。

「・・・ハァ、すごいエナジー・・」

十夜を見上げると、青い瞳が加奈を見つめていた。

「この量のエナジーを受け入れられるようになったなら、君の能力も上がったってことだ。君ならこのエナジーで凛音も瑞樹も救えるよ」

確かに、前の時のようなショックはなかった。

十夜・・・私にエナジーを与えてくれたんだ。

「ありがとう、十夜」

「行こう、開演だ」

十夜が笑顔で加奈に手を差し伸べる。

「うん!」

逃げない。

何があっても・・・!!