月夜の天使

「私は、育ての母をとても愛していた。母は最期までその想いを遂げられなかった。だから私が母の想いを受け継ぐわ」

「加奈?あっ、凛音じゃない!高月くんまで、こんなとこでどうしたの?」

清香が駆け寄ってくる。

「瑞樹は、あなたには渡さない」

小声でそう言うと、凛音は長い髪を翻し、屋上の入り口へと向かっていった。

瑞樹を渡さない・・・。

凛音の言葉があまりに突然で、加奈は呆然と立ち尽くす。

「加奈?凛音、今なんて言ったの?」

詩苑はその光景を楽しむようにゆっくりと眺め、そして立ち去る。

娘からのメッセージ。

瑞樹を渡さない。

あまりにも残酷で皮肉な娘から母へのメッセージ。

加奈は自然に涙があふれ出すのを止められず、うずくまって泣き崩れる。

月の神様。

このメッセージは、カインの一族の娘を産んだカナンへの罰なのでしょうか・・・。

カナンは・・・涙が止まりません・・・。