月夜の天使

「トオヤ!?」

トオヤの体から冷気がほとばしる!!

「カナン!!俺は必ず甦る!!だから、ミズキとリオンを!!」

カナン・・・愛してる。

永遠に・・・。

トオヤはシオンを後ろから羽交い絞めにし、強い冷気を放った!!

「うわぁあ!!やめろ!!トオヤ!!お前も死ぬ気か!?」

「そうだ。一緒に逝ってやるよ」

二人の足元からみるみる氷の結晶が広がっていく。

トオヤ!?

「トオヤ!!やめて!!」

カナンの頬から涙がつたい落ち、リオンの瞳にその滴がしたたり落ちる。

「うっく・・・」

その無垢な瞳で母を見つめるリオン。

氷の柱はゆっくりと二人の顔まで近づいていく。

「トオ・・・ヤ」

苦しむシオンの顔の後ろで、トオヤが微笑む。

なんて美しく、氷のように澄んだ瞳。

その姿は変わっても永遠に私たちの命を育んでくれる水のようにトオヤは今、その姿を美しい氷の結晶へと変えていく。

「カナン・・・永遠に愛して・・」

トオヤはゆっくりとその瞳を閉じる。

パーン!!!

その瞬間、氷の壁は二人の顔を全て飲み込む!

トオ・・・ヤ。

「トオヤー!!!」

まるで・・・氷の彫刻。

トオヤは清らかな笑みをたたえ夜の闇に溶け込んでいく。

「こんな、残酷なことって・・・」

カナンはゆっくりとミズキを振り返る。

「ミズキ・・・私の命、やっぱりあなたのために使わせて」

月はただその命の結晶を見守り続ける・・・。