月夜の天使

「ミズキ!しっかりして!ミズキ!!」

お願い、月の神様!

私の能力を使わせて!

月は、その命の灯火を静かに見守る。

なぜ、なぜこんな時に力が使えないの!?

「トオヤ・・・ミズキを助けられない!!」

「リオンだろう?」

暗闇の中に響くミズキにそっくりなその声。

「シオン!!」

ゆっくりと感情を押し殺した表情で近づいてくるシオン。

「カナン、女性の君の能力には限界がある。護るべき娘リオンがいる今、月の再生能力はリオンにしか働かない」

リオン・・・・。

カナンはその胸に眠る愛しい娘リオンを見つめる。

リオン、あなたが愛しい。

でも・・・・!!

カナンはリオンを胸に抱いたままゆっくりと立ち上がる。

「シオン、あなたがミズキを傷つけたのね!!ミズキが死んだら私、あなたを絶対に許さない!!!」

「カナン・・・」

トオヤはカナンの憎しみの表情を静かに見つめる。

カナン・・・君のこんな表情は初めてだ。

カナンとリオンのために、俺に何ができる・・?

「シオン!!」

トオヤはシオンにその全身の力をもって、駆け寄る!!

これが・・・俺にできる全て!!!