月夜の天使

それからしばらく、リオンの行方はわからないまま時は過ぎた。

「カナン、何か食べないと倒れちまうぞ」

トオヤが心配そうに食事を運んでくる。

「うん、ありがとう。あれから2週間何も手がかりがつかめなくて、リオンに会えない毎日がこんなにつらいなんて・・・」

カナンは涙をこらえながら笑顔をつくる。

コンコン!

カナンの部屋をノックする音。

いずみが小さな手でドアを押し開け入ってくる。

「カナン!あなた宛に絵が送られてきたわ!」

「!?」

カナンとトオヤは顔を見合わせ立ち上がる。

「この絵・・・『カナン』だ・・・」

『カナン』?

「カナン、この絵はミズキが君を描いたものなんだ」

ミズキ・・・幼い時から一緒で敵でもある人。

なんだろう、この絵、何か思い出せそうなのに。

「これを送ってきたのはミズキってことか?」

トオヤが絵を持ち上げひっくり返す。

「カナン!裏に手紙が挟まってる」