月夜の天使

「ギャー!!ギャー!!」

赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。

「リオンが泣いてる。カナン、俺が見てくるよ」

トオヤが部屋を出て行く。

いずみがトントンと足音をたてカナンに近づき、囁く。

「カナン・・・次は、男性に生まれなさい」

「え?」

「男性として生まれればシオンなんか目じゃないわ。そして、愛に苦しむことはなくなるでしょう?」

・・・・男性として。

愛に苦しむことはなくなる・・・・?

「ごめんなさい、いずみ。ワタシよくわからない。でも、これだけは、わかるの。ワタシはどうしても女性に生まれたい」

「・・・どうして?」
いずみが探るような目でカナンを見つめる。

「言えなかった言葉がある、そんな気がするの。女性として言いたかった何か。ワタシ、どうしても言いたくて、言えなかった言葉・・・」

カナンは、思いだそうとして激しい頭痛を感じる。